努力することよりも諦めることのほうがよほどつらい。
ある知り合いが(と書くと、本当は本人のことだろうと思われそうだがこの場合本当に、とある知り合いの話である)、意中の女性といい感じになったにも関わらず最終的に手に入らなかったときに
「あなたに好かれるように努力するから、頑張らせてほしい」
と申し出ていた。女性側からは「そういうところが怖い」と一刀両断だったわけだが、うーんなんというか、気持ちわかる!!
もう手に入らないという現実を受け入れるよりも、頑張ったらなんとかなるかもしれないという希望にしがみついている方が、一時的に見れば精神的にずっとらくなのだ。
けれども本当の苦しみはそのあとだ。
初めはポジティブに頑張る。頑張ればあの子が振り向いてくれるかもしれないと思って研鑽する。けれどSNSに流れてくるのは、自分がいなくても楽しそうな彼女の様子だ。
ふとした瞬間に思う。
「このままだめなのかもしれない、どうにもならないのかもしれない」。
じわりじわりと染み出してくる絶望が、気づけば足元をひたひたに濡らしている。
お金で愛が買えたら、どんなに楽か。頭を下げて思い通りにできたら、どれだけ楽か。正直、暴力で解決するなら、そうしたい。
けれども、決してそうはならない。人の気持ちは人のもの。ありのままで誰にも侵せない。
だから執着を最初に手放した方がいい。
諦めるのは怖いけれど、最初からそうした方がいいと私は思う。