はいどうも。
前回は伝える文章講座ということでライティングの心意気、「おもてなしの心」についてお話させていただきました。
っていうこの前回の振り返りのようなものも、初めてこのブログを見てくださった方や、前回のエントリーを見ていらっしゃらない方にも、どのような趣旨と流れでこのエントリーが存在しているのかということを知っていただくために書いているんです。これもおもてなしの一言で説明がつくと思うので、ぜひみなさんも実践してください。
もちろん、リンクをつけるんですよ。
新宿駅で、丸の内線はこっちって矢印をたどっていけば丸の内線にたどり着くという便利さを当たり前に享受している現代日本人に対して、リンクを欠かすということは喧嘩を売っているに等しい行為だと言っても過言ではありません。
…と、このように一見関係ない例を引き合いに出して少しでも「面白いな」「なるほどね」と読者の興味を引くよう工夫するのも一種のおもてなし技法といえます。芋づる式で色々言えてしまう。
さて今回のトピックは、ライティングの前にやっていただきたいことです。
(念のため補足しますが、私はライティングの訓練をこれといって受けたこともなく、ノウハウを確立しているわけでもなく、あくまで自身の考えるライティングテクニックというのを言語化してみようという試みのなかにいるのであって、このハウツーを誰かに押し付けようとか、これが最高の方法だというような考えは持っておりません。ちなみにこういった"逃げの"注意書きはメディアでは「個人の見解です」とか「2016年○月○日現在の情報です」のような形で現れます)
まず全体の流れですが、
- 読者層の仮定
- ゆるいプロット作成
- 見直し
となっております。
(このように目次を入れるのも、最初に読み手に全体像を見せることで、その後の理解がスムーズになるであろうというおもてなし。また、ここで読み手はその記事を読むかどうか判断できる=読者が無駄な時間を使わなくて済む、という親切設計でもある)
1.読者層の仮定
まず読者層の仮定ですが、これはなにかというと、「誰に読んでもらいたいか」を最初に決めるということです。
たとえば、今私が書いている「伝える文章講座」では、想定している読者は
「文章を書くのが好き、もしくは興味があるけれどどのように書いたらいいのかわからない人」
です。これくらい具体的で良いです。
これくらい具体的でないと、どういう風に文章を書き進めていけばいいのかわからなくなります。
もし、想定している読者が
「文章がうまくなりたい人」
という大雑把なものだったらどうなるでしょうか。
小学生が読んでも役に立って、ブロガーが読んでも役に立って、プロのライターが読んでも役に立つ…そんな情報が書けたらそれに越したことはないのですが、たとえば小学生に対して「読者層の仮定!」なんて言ったら的外れな気がしますし、プロのライターに対して「読者層の仮定!」と言ったら初歩的すぎてまあまあ失礼です。
そう考えると、結局どこからどこまで書けばいいのかわからなくなる。読者層を決めずに文章を書き始めることは、「誰に渡すかは決めてませんが喜ばれそうなプレゼントを買ってきてください」と言われるくらい無茶な話なのです。
実際は、誰が読むかわかりません。むしろ想定した読者じゃない人以外の人のほうが多く読む可能性の方が高いです。ですがそこは問題ではありません。大勢をもやもやさせるより、ターゲットを満足させることの方が重要です。
逆に、読者を最初に仮定できれば、相手が求めていることは何か推測することができます。相手が欲しい情報を、お出しする。それがおもてなしであり、相手のかゆいところに手が届けば、「また(読みに)来よう」と思っていただける可能性も高まるというわけなんです。
2.ゆるいプロット作成
次に、ゆるいプロット作成です。プロットというのは、文章の流れ(構想)や、言い換えてしまえば起承転結のこと。文章を書き始める前に、大まかな流れを頭に描いておきましょうということです。
改めて考えてみたらライター仲間とプロットの書き方についてなど意見を交わしたことがないので、他の方がどのように書いているのか存じ上げないのですが、
個人的にはゆる〜〜いプロットを作ることを推奨していきたいと思います。
理由は、単純に、気が変わるかもしれないから。
書いているうちに、ここはもっと盛り込みたい、ここは思ったより膨らまなかった、といったように予定がかわることは日常茶飯事なので、プロットはやんわり組んでおくくらいのほうが、臨機応変に対応できるかなと。
今回のエントリーでは、私のプロットはこんな感じです。
タイトル案:文章を書き始める前のTo doとは
- 読者層の仮定
- ゆるいプロット作成
- 見直し(お茶を濁していないか、言いたいことがぶれていないか、内容に齟齬がないか、予定した着地点に着地しているか)
ほとんどさっきの目次のまんまじゃん!ていう。
プロットはだいたい、その記事の核となる部分だけ決まっていれば良いと思います。目次って読者のためだけでなく、最初は自分のために生まれてたんですね〜。
3.見直し
待って、今気づいたけど見直しって書き始める前のTo Doじゃないじゃん。
めっちゃ書き終わったあとのTo Doですよね……。
…っていうね、
見直しの3か条
- お茶を濁していないか
- 言いたいことがぶれていないか、内容に齟齬(そご)がないか
- 予定した着地点に着地しているか
の2にまさに該当する事故が起きました。
すごいテクニカルに伏線を回収した技巧記事みたいになってますが(なってないか)、普通に素で間違えただけです。
本来であれば、「タイトルと内容がちぐはぐになっている!」と気づいたらタイトルか内容を変える必要があるわけなんです。
今回でいうと、この「見直し」という工程はとってもお伝えしたい内容なので、タイトルを変えることになると思います。
そうですね…思い切って「伝える文章講座② テクニック編」くらいにした方がかえって面白そうに見えるかもしれません。それか「伝える文章講座② たった3つのTo Do」とか。
タイトルについては次回のエントリーで書きたいのですが本当に難しくてですね。タイトリングだけを勉強するライター講座などもあるくらいなんです。
残りの2か条についても補足します。
まず1のお茶を濁していないか、ですが、これは曖昧な表現は避けましょうということです。
たとえがぶっとんでますけどたとえば政治家が街頭演説で「世の中のためになるいろんなことをしていきます!」とか言ってたら「いやどんなことをするのか説明してくれよ!」ってなりますよね。
わたしたちは(というか少なくとも私は)政治家でもないし本来発言力のある人間でもないので、発言がふんわり無責任でもさほど問題ではないように思われますが、それがひとたびメディアでの発言となると、読み手の目は一気にシビアになります。
たとえば「文章 書き方」と検索して、このエントリーにたどり着いたとします。ここに、「文章の書き方についてはたくさんの良い書籍が出ているので調べてみてくださいね〜!」と一言書いてあったらどうでしょう。
がっかりしませんか?
文章の書き方が知りたくてたどりついたのに、文章の書き方を知ることができなかった。しかも、書籍名やリンクが貼ってあるならまだしも、それすらもなかったとなれば…
このブログは「情報の質が低いからもう来ない!」という烙印を押されてしまうわけです。
個人ブログならまだ良いですが、メディアでそれをやってしまうと読者はもう来てくれません。というわけで、曖昧な表現は極力避けるようにします。
と、ここまで明言したあとに言うのもなんですが、実は、逆に曖昧な表現を使うべきときもあります。
いわゆる炎上防止のためです。
ちょっと過激な表現をするときや、意見が分かれそうなことについて言及する際に、「〜といえるかもしれません」「〜という可能性も否定できませんが」「〜といえないこともない」のようにオブラートに包むときがあります。
これは保険といいますか、やはりメディアの発言力というのを考えたときに明言を避けておきたいときに使うもので、まあ…大人の礼儀作法のようなものです…。
なので、"意見"についてはお茶を濁すこともあるけれど、"情報"については曖昧な表現をしない! というふうに意識してくださいませ。
最後のひとつ、予定した着地点に着地しているか。
みなさんは、お友達と話していて、何気なく話し始めたことを一生懸命話しているうちに、気づいたら話しのオチが全然関係ないところにいってしまった、という経験はありませんか?
無計画に飛び立つと、ゴールを見失って見知らぬ土地に不時着してしまう現象は会話でも作文でもよく起きる事故です。
これは、さきほど最初に作ってくださいねと言った「プロット」があればおおかた回避できる現象なのですが、それでもやっぱりよくよく読むと若干ずれた着地をしているということが、まま起きます。
たとえばこんな作文です。
タイトル:私が猫を好きな理由
起)私は猫を7年前から飼っていて、楽しいときもつらいときも、家族同然にたくさんの時間を共有してきました。
承)気まぐれなところや、付かず離れずいつもそばにいるところ、遊ぶときのやんちゃな表情や、寝ているときの猫とは思えない無防備さが好きです。
転)でも、たまに喧嘩をするときもあります。遊びのつもりだとわかっていても、しつこく噛み付かれたり眠いときに起こされたりするとイライラすることもあります。でも、けんかするほど意思疎通がとれているということなので、それはやっぱり嬉しいことと言えるのかもしれません。
結)やっぱり私は猫が大好きです。とにかく長生きしてほしいので、最近は食事やおやつにもこだわるようになりました。
気づきますでしょうか。
結の部分でさりげなく別のトピックが始まってしまっています。この作文のテーマは「私が猫を好きな理由」だったはずなのに、最後は理由ではなく「猫を好きな結果こうなった」という若干違う話題へ静かに移行してしまっています。
まとめの段落でさりげなく違うところに着地するというのはとってもよく起きます。
正直プロのライターでもたまに見かけるくらいです…もっと小さい事故ですが。
これが起きる理由は明白で、気を張って本文を書いたあと「よーしもうまとめだ〜✨」と思って気が抜けているんですね。(多分)
とにかく、書き終わったら、読み直す。もっと余裕があれば、翌日読み直すとさらに良いです。その一手間で、文章の精度をぐっと高めることができると思います。
長くなってしまってすみません。
次回はタイトリングについて書きたいと思います。
タイトルがPV数を左右するといっても過言ではないくらいタイトル付けは重要なのですが、内容と乖離(かいり)してはいけないという絶対的なルールがあります。
映画だって、予告編がすごく面白そうだったのに本編を見たら全然予告編でイメージしてたものと違った…となるとなんだか騙されたような気分になると思うのですがそれと同じことです。
しかしタイトリングは本当に奥が深いので私が何か言うのは本当にリスキーというか自分でもどうかと思うのですが…、たとえ付け焼き刃でもいくつか本当に重要だと思う点はピックアップしてお伝えできたらいいなと思っています。(願望)
では。
ノリコ・ニョキニョキ
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